一粒の稲 第1話「ライバルはディズニーランド」

2006年の「稲刈りツアー」で深い感銘を受けた出来事をお話しします。

私は田舎体験ツアーの主催者として経験を積み、かなり「ベテラン」の域に達しているつもりでいました。

この年の稲刈りツアーはテレビ東京さんの特番で全国放送され、NHK大河ドラマの裏で視聴率10%を獲得するなど大評判をいただきました。

 

時間とお金

稲刈りツアーは現地集合・現地解散の日帰りツアー。参加費はお一人様5,000円でおにぎり付きです。

この時代「稲刈り体験をしておにぎり食べて5,000円」という価格設定は「非常に高額」と思われがちでした。要するに「田舎体験のくせにめちゃくちゃ値段が高かった」わけです。

当時の農作業体験イベントは「市役所」が主催することが多く、参加費も無料だったりせいぜい500円程度でした。

農家の皆さんは顔なじみの農業課のお兄さんから頼まれて無償で協力するというスタイルが一般的でした。

市の農業課はイベント開催が本業ではありません。無料のイベントにお客さんがサッパリ集まらない場面を私は何度も見てきました。

無料でおにぎりを振る舞うイベントなのにお客さんがサッパリ集まらない。その理由は何だと思われますか?

 

それは時間です。

 

人通りの多い駅前で無料のおにぎりを配ればおにぎりはあっという間になくなるでしょう。

しかし私の仕事は田舎ツアーです。たとえ参加費が無料でもお客さんは「時間」を消費して田舎まで足を運ぶ必要があります。

お客さんは片道1時間以上かけて田舎まで足を運んでくださいます。

なのに無料のおにぎりを配るだけでは、お客さんの使った「時間」を取り返すことができません。

ならば私の田舎ツアーは無料イベントのスタイルではなく、家族揃って時間を消費したくなる「ディズニーランド・スタイル」を目指そうと考えたのです。

 

ディズニーランド・スタイル

ディズニーランド・スタイルとは何か?

それは家族4人で1時間かけて移動し、入場料8,000円×4人で32,000円を支払う。

園内で昼食を取り、おみやげも買って出費は合計5万円。ちなみにこれは2006年頃のディズニーランドの値段です。

家族4人で5万円払っても大満足。しかも「また行きたい」

これが私の目指したディズニーランド・スタイルです。

 

田舎ツアーに5,000円という価格設定はかなり非常識でした。

実際テレビ放送の後、

「なんで稲刈りが5,000円なの?ぼったくりなの?」

とご批判を受けたり、

「なんで稲刈りが5,000円で売れるの?コツを教えて」

と羨望の眼差しを受けたりもしました。

 

私は参加費5,000円の半額を農家の方にお支払いしていました。

ツアーを始めたばかりの頃は、どこの田舎でも

「え、こんなにたくさんもらっていいの?」

とよく驚かれました。

 

つづく

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